原理説明

■ スプルトポンプはなぜシール漏れしないのか?

弊社竪型ポンプの軸封(メカシール)の位置は、一般の渦巻き式ポンプとは逆の、吸入側にアウトサイド方式にて装着されております。(下図の右 ピンク色部

流体は、上部吸い込み口より流入し、下部のインペラを通過し、ケーシング内にて昇圧されます。この時に軸封に掛かる圧力は、吸入側の押込みヘッド分しか掛からず、ケーシング内の圧力を受けることはありません。

よって、メカシールの摺動面を開かせる事がありませんので、シール漏れは発生致しません。
※異常運転時は除く

又、竪型構造の利点として、ポンプ停止時におけるメカシールに対するスラリーの影響は殆ど受けません。スラリーは底部に堆積しますが、上部のメカシール接液個所付近は、比重の軽い液性のため、スケール化しにくい状態となります。それにより、再起動時に発生しやすいシール漏れがありません。

■ スプルトポンプはなぜ高濃度液を送液できるのか?

基本的に、濃度が高い液を送液する場合、吸入側条件は押込み・吸上げを問わず管抵抗が増す事になります。それにより、ポンプはより強い吸引力(バキューム力)が要求されます。

弊社ポンプは、前述のシール漏れが無い事と、インペラに流入する際の整った渦流(整渦流)により、到達真空度は-760mm/Hgのフルバキュームまで達します。この強いバキューム力が、高濃度・高粘度液を送れる理由です。
※但し、あくまでも遠心力利用の渦巻き式ポンプですので遠心力が伝わらない液は不可能です。

■ その他の理由

  • タンクより全量抜出し出来る理由は、インペラが底部に水平に装着されていることで、横型のようなエアーポケットがインペラ周りに発生しない事に因ります。
  • 空引き運転が出来る理由は、竪軸であることがキャビテーションに強いのと、シールが安定している事と、メカ室が単独で冷却されている事に因ります。
    ※但し、沸点に達するような長時間運転は避けてください。
スプルトポンプ分解図1
スプルトポンプ分解図2
 

■ 完全自吸式ポンプの自吸原理説明

完全自吸式ポンプ分解図
  • @.先ずポンプに呼び水を入れます。(呼び水は最初の1回のみでOK)
  • A.ポンプが起動すると呼び水は吐出方向に移動します。この時図では吐出管は排出管と同位置に示されていますが、実際は180度反対の位置にセットされていて、液を胴体天井部にぶつける事により、瞬間的な液の飛び出しを防ぎ、呼び水を確保します。
  • B.吐出管から飛び出た空気と液は、二重構造となっている胴体の外胴を、反対の排出管へ移動する間に、気液分離され、液はジェットノズルより内胴に戻り、空気は排出管より吐出側に排気されます。
    ※内胴=マイナス圧 ・ 外胴=プラス圧
  • C.上記循環運転を繰り返す事により、吸入側の空気を完全に払い出し、自吸させます。
  • D.瞬間的に空気を吸い込んだり、ポンプ停止時のサイフォン現象による内部液の確保は、Aの説明が逆流時にも適応されますので、呼び水は確保出来ます。
    ※備考 混気液吸上げの場合、空気が30%以下の時は連続吸上げ、それ以上の時は断続吸上げ運転となります。